科目名 建築設計3(Atelier Practice of Architectural Design 3)
担当教員 近藤 正一(こんどう しょういち)、島岡 成治(しまおか せいじ)、
長谷雄 聖(はせお せい)
E-mail kondo@nbu.ac.jp
学年・開講期・単位 3年・前期・2単位
必修選択 建築デザインコース 必修
住居・インテリアコース 必修
建築構造システムコース 必修
教科書 コンパクト建築設計資料集成(丸善) 日本建築学会編

■目的または到達目標
 建築設計1,2で培われた基礎的な設計能力を発展させることを目的とし、デザイン教育クラス(D)とライセンス教育クラス(L)とに別れて指導します。いずれも建築設計の基本的知識と基礎的能力の充実を図ることを目的とすることに変わりはありませんが、以下の違いがあります。
 Dクラスでは、空間創造・表現能力を重視し、学生寮や美術館など、平面構成や空間構成において、そこで展開される生活行為の内容や機能構成、運営方式など、前提条件に対する充分な理解が必要な設計課題に取り組みます。
 Lクラスでは、空間創造・表現能力よりむしろ作図能力を重視し、一級・二級建築士、インテリアプランナーの実技試験の内容を中心に、主に資格検定試験を前提とした設計課題に取り組みます。


■授業内容
【Dクラス】
○第1回 学生寮の設計1-課題説明
 建築設計3の学習意義を解説します。また、第一課題である<学生寮>の設計条件を説明します。加えて、過去に建築された学生寮の事例研究を行います。

○第2回 学生寮の設計2-敷地分析とコンセプト
 建築の敷地分析を行い、その分析結果を発表し合い敷地の特性理解を深めます。また、各自が設定した建築のコンセプトを発表し、建築設計の意図を明確にします。学校の社会性をふまえた計画の提案能力が求められます。

○第3回 学生寮の設計3-シェマの作成
 第2回目に設定したコンセプトを図式化し、建築の平面構成の基礎を作成します。同時に、全体の造形イメージを具体化します。学年毎の特性とクラス毎の特性を設定し、コミュニティーの全体構成能力を育成します。

○第4回 学生寮の設計4-エスキスと三面図の作成
 第3回目に作成したシェマを基礎にして、エスキスを進め、平立断面図を作成します。理想イメージの核として作成されたシェマを現実のものとして具体化する能力を育成します。

○第5回 学生寮の設計5-三面図の作成
 平立断面図を綿密に練り上げます。理想と現実のずれを自覚し、理想像を現実の世界に投影する力を養います。理想イメージの具体化の困難と突破方法を模索します。

○第6回 学生寮の設計6-プレゼンテーション図面の作成
 作成した三面図を基に、全体像を第3者に伝えるためのプレゼンテーション図面を作成します。3次元で構成された建築空間を2次元の平面に投射し表現する方法を学習します。

○第7回 学生寮の講評会
 作成したプレゼンテーション図面を用い、口頭で作品の内容を説明することによって、3次元で構成された建築空間を第3者に伝えるトレーニングを試みます。加えて、他の作品を講評する能力を習得します。

○第8回 美術館の設計1-敷地調査と「美術館」の提案
 地形や自然環境、周辺の街並みや街路形態など、敷地及びその周辺の現状調査と分析を行います。場合によっては、スタディ用に敷地模型の制作を開始します。また、各自が設計する「美術館」の展示内容やそれ以外の活動内容など基本的性格について、現状とともに様々な例を参考に設定し、発表します。

○第9回 美術館の設計2-美術館の資料収集と全体空間構成の提示
 美術館設計のための基礎的データと各自の設定した内容にふさわしい美術館を設計するために参考となる実例や設計例を収集し、それらを参考にしながら、空間構成の全体的シェマを作成、提示します。シェマは、図面、スケッチ、もしくは模型で作成します。

○第10回 美術館の設計3-図面と模型の作成1
 全体空間構成をもとに、配置図や平面図、スタディ模型などによって、効果的で周囲の景観にふさわしい敷地計画、全体のゾーニングや各空間とのつながり、空間の適切な寸法計画とスケール感、及び適切な構造計画などに留意したデザインを行います。必要に応じて、見直しが行われます。

○第11回 美術館の設計4-図面と模型の作成2
 三面図およびスタディ模型の制作によって、全体及び各室の空間デザインを仕上げます。特に立面図や断面図、模型によって、高さに対する考え方やヴォリュームのとらえ方、光の取り方など立体的デザインを重視します。必要に応じて、見直しが行われます。

○第12回 美術館の設計5-図面と模型の作成3
 三面図およびスタディ模型の制作によって、全体及び各室の空間デザインを仕上げます。特に立面図や断面図、模型によって、高さに対する考え方やヴォリュームのとらえ方、光の取り方など立体的デザインを重視します。必要に応じて、見直しが行われます。

○第13回 美術館の設計6-図面と模型の完成
 提出のための模型と図面を仕上げます。ここでは、各自の設計内容とコンセプトを適切に表現するためのプレゼンテーションが求められ、さまざまな模型制作方法や図面表現方法、図面への写真の取り込み、CADやCGの利用などが指導されます。

○第14回 美術館の講評会
 全デザイン系教員の出席のもと、各自の模型と図面が展示され、講評会が行われます。講評会は、学生の口答によるプレゼンテーションの後、質疑応答と討論会の形式で行われますが、全出席学生に発言権があり、学生自身の発言力が試される場でもあります。

○第15回 補習
 それぞれの課題について、学生によって必要に応じて、提出後の図面や模型の手直しや見直しについての助言、今後の学習課題などについて指導します。また、建築設計やインテリアデザイン全般について質問を受けつけます。

【Lクラス】
○第1回 資格対策について
 一級・二級建築士、インテリアプランナーの実技試験の内容について、概要および留意点を説明します。必要に応じて、製図に関する基礎知識の確認をします。

○第2回 課題の読み方
 資格試験では、限られた時間内ですべての作業を完了する必要があります。課題を読むのに時間をかけていては、作図に必要な時間を確保することができなくなります。できるだけ早く、しかも正確に文章を読むための演習をします。

○第3回 エスキス
 エスキスに使える時間は30分といわれています。それ以上考えていると、残り時間が不足するからです。これまで建築設計1、2では何週間もかけてきたエスキスの作業すべてを、ここでは短時間に、しかも正確にこなすための演習をします。

○第4回 二級建築士資格試験問題の練習1
 まずは、模範解答の平面図のトレースに取り組みます。合格水準に価するきれいな図面を描くための能力を向上させるため、ここではオリジナリティーやスピードよりも作図の正確さを求めます。

○第5回 二級建築士資格試験問題の練習2
 立面図、断面図、矩計図、面積表のトレースに取り組みます。ただし、単に写しているだけでは勉強にならないので、すべての作業を終了後、空間がどうなっているのかを想像しながら描けるよう、資格試験では求められないアクソメ図も作成します。

○第6回 二級建築士資格試験問題の練習3
 模擬試験を実施します。問題読解、エスキス、平面図・立面図・矩計図・面積表など、すべての作図作業を時間内に終えることができるように、できるだけ早く正確に描くための演習をします。

○第7回 二級建築士資格試験問題の練習4
 具体的なチェックポイントについて解説した後、前回完成させた図面について、全員で講評し、互いに評価し合います。他の人が描いた図面をしっかりと見ることをもって他山の石とするための講評会です。

○第8回 インテリアプランナー資格試験問題の練習1
 インテリアの資格試験において、基本寸法の知識は重要です。したがって、とりわけ什器などアーゴノミー系家具の基本寸法を学習し、じっさいに名作家具などを実測し、スケッチおよび三面図を作成します。

○第9回 インテリアプランナー資格試験問題の練習2
 必要に応じてパースの描き方について解説します。その後、模範解答のトレースに取り組みます。合格水準に価するきれいな図面を描くための能力を向上させるため、ここではオリジナリティーやスピードよりも作図の正確さを求めます。着色をしますので、絵の具、マーカー、色鉛筆などを持参してください。

○第10回 インテリアプランナー資格試験問題の練習3
 模擬試験を実施します。問題読解、エスキス、平面図・展開図・仕上げ表・パースなど、すべての作図作業を時間内に終えることができるように、できるだけ早く正確に描くための演習をします。着色をしますので、絵の具、マーカー、色鉛筆などを持参してください。

○第11回 インテリアプランナー資格試験問題の練習4
 具体的なチェックポイントについて解説した後、前回完成させた図面について、全員で講評し、互いに評価し合います。他の人が描いた図面をしっかりと見ることをもって他山の石とするための講評会です。

○第12回 一級建築士資格試験問題の練習1
 まずは、模範解答のトレースに取り組みます。合格水準に価するきれいな図面を描くための能力を向上させるため、ここではオリジナリティーやスピードよりも作図の正確さを求めます。

○第13回 一級建築士資格試験問題の練習2
 模擬試験を実施します。問題読解、エスキス、平面図・立面図・矩計図・面積表など、すべての作図作業を時間内に終えることができるように、できるだけ早く正確に描くための演習をします。

○第14回 一級建築士資格試験問題の練習3
 具体的なチェックポイントについて解説した後、前回完成させた図面について、全員で講評し、互いに評価し合います。他の人が描いた図面をしっかりと見ることをもって他山の石とするための講評会です。

○第15回 補習
 それぞれの課題について、学生によって必要に応じて、提出後の図面や模型の手直しや見直しについての助言、今後の学習課題などについて指導します。また、建築設計やインテリアデザイン全般について質問を受けつけます。


■関連科目
住居論、建築計画1、建築計画2、建築設計1など。特に建築計画2では、それぞれの課題設計に必要な内容を講義します。


■受講心得
 各課題の担当指導教員によるエスキスチェックが学習の中心となります。これを受けない者の課題提出は認められません。また、提出期限は厳守してください。


■課題・質問などの受付方法
 課題提出は各担当指導教員の指示に従ってください。また、質問は、原則としてエスキスチェックの際、担当指導教員に行ってください。


■授業の形式
 15人以下の小グループに分け、課題ごとに割り当てられた担当指導教員による原則として1対1のエスキスチェックが演習指導の中心となります。また、課題提出後、デザイン系全教員と学生で講評会を行います


■履修上の注意または履修条件
 エスキスチェックおよび講評会ではスケッチブックおよび筆記用具を携帯し、必要な事柄を即時メモできるように、また、思いついたアイディアを即時スケッチできるようにしておいてください。


■成績の評価方法
 各課題の評価点数の合計によります。1課題でも未提出の者は不合格となるので、期限を厳守して提出してください。


■参考文献及び指定図書
建築設計課題のプレゼンテーションテクニック(彰国社) 吉田研介著 など
適宜担当指導教員によって指示します。