建築計画1

■目的または到達目標
 建築を設計するための理論と手法を体系化した学問が建築計画学です。建築計画を学ぶことにより、ある程度の造形力や空間創造力を身につけることができます。
 この講義では、建築計画の基礎を学びます。建築の成立構造をとくに構法・機能・造形に着眼して説明します。講義は多数の建築写真、建築図面を用いて、建築の基本計画の概要をビジュアルに明らかにします。各自の設計手法確立の一助となることを期待します。

■授業内容
○第1回 何を建てるのか誰が建てるのか
 住宅(集合住宅)、店舗、オフィスビル、公共施設(学校、博物館、劇場、病院、公園、駅、橋)など建築と呼ばれている事象について説明します。また、建築に関する職種とその概要を説明します。とくに、建築家と呼ばれる人々の職能について、事例を挙げながら具体的に説明します。授業内容について課題を出します。

○第2回 建築計画の内容
 さまざまな要素をどのようにしてデザインにまとめ上げていくのか、建築を計画する時の着眼点を、絵と図と言葉を用いて説明します。また、大学で行われる建築設計教育のプロセスについて、概要を説明します。授業内容について課題を出します。

○第3回 世界の建築1
 世界の様々な建築を紹介します。空間の形は何によって決まるのか、おもに歴史的あるいは風土的建築について説明します。授業内容について課題を出します。

○第4回 世界の建築2
 世界の様々な建築を通して、建築の造形と空間との関係について説明します。おもに近現代建築の事例を具体的に分析することによって、建築設計の着眼点について解説します。授業内容について課題を出します。

○第5回 テスト
 第1回〜第4回の授業内容についてテストを行います。またテストの模範解答を行い、解説します。

○第6回 建築の造形
 床・屋根、柱・壁、開口部という建築要素をふまえて建築造形の成り立ちを説明します。空間形成の要素をどのように設計することによりどのような効果があるのか、性能評価を交えて講義します。授業内容について課題を出します。

○第7回 建築の成り立ち
 鉄筋コンクリート、鉄、木など建築の材料別に回される建築構法の諸相を説明します。特に、軸組構造の仕組みをビジュアルに解説します。平面図、立面図、断面図など、図面の表記法についても言及します。授業内容について課題を出します。

○第8回 日本建築の特質と起居様式
 日本建築の特質である床の造形と起居様式の関係について説明します。起居様式は特に床座とイス座の問題について解説します。また、人間の知覚と行動について、心理的側面や行動学の観点から解説します。授業内容について課題を出します。

○第9回 外部空間の構成と配置計画
 外部空間とのつながりを持たない建築空間はあり得ません。外部空間を建築空間の延長線上にとらえ、歩行空間をどのように構成していくのかについて、具体的に説明します。授業内容について課題を出します。

○第10回 テスト
 第6回〜第9回の授業内容についてテストを行います。またテストの模範解答を行い、解説します。

○第11回 建築の単位
 「モデュロール」や「間」の説明を行います。建築で用いられる寸法体系を理解し、身体空間と寸法体系との密接な関わりを学ぶことを課題とします。また、寸法感覚を身につける練習をします。授業内容について課題を出します。

○第12回 建築図面の読み方
 建築の設計過程を通して見ることによって、建築計画におけるコンセプトと造形の関係を解明します。さらに図面と写真を見ながら、平面図と立面図、断面図の相互関係と建築の空間構築の関わり方を説明します。授業内容について課題を出します。

○第13回 建築計画の実践
具体的な建築作品のエスキースを介して、建築計画のあり方を説明します。建築計画とコンセプト、建築空間、建築内で展開する生活像の関係を総合的に把握することを課題とします。授業内容について課題を出します。

○第14回 テスト
 第11回〜第13回の授業内容についてテストを行います。またテストの模範解答を行い、解説します。

○第15回 自己点検授業
 授業で学習した内容の総括を行い、学生自身に学習達成の程度を自己点検させます。学習目標が達成されているかを、個々の学生の成績評価を示して説明します。

■受講心得
 講義の内容をその時間内に理解するよう心がけてください。授業中の私語は他の受講者の迷惑になるため厳禁です。目と手だけで受講するのではなく、目と手と耳、その他の感性を縦横に発揮して受講してください。欠席した学生は課題の解答またはレポートを提出することができません。