actionscape
久保文乃さんとの共同作品であり、「NAGOYA DESIGN DO!」(2000年4月20日締め切り)応募作品です。(レイアウト版

作品意図
本来、都市とは人間の活動の集積であり、それこそが都市の風景の本質であると思う。多種多様な人々の活動をひとりひとりが感じてこそ、都市生活への期待感が育まれる。やはり、都市は楽しく賑やかであってほしい。現代の都市空間は、どんどん整理され便利で安全になっているが、そのために空間が細分され、人と人の関係が稀薄である。しかし、人の行動は周囲の人々の心に影響を与える力を持っている。活動そのものを風景として認識させる装置を都市に組み込むことにより、都市の魅力を引き出したい。「アクションスケープ(活動景)」の概念を提案し、都市におけるいくつかのあり方を示そう。人は、自分の活動する時間的・空間的レイヤーを越えて別の活動景を予感するとき、自身の経験を超越したいわば「通り抜けた先」を感じるものである。その可能性は、ランドスケープにはもはやない。だから、われわれはアクションスケープに未来を賭けたい。
各パネルの解説
1.ACTIONSCAPE

このプロジェクトのコンセプト。

2.FOOTPRINTS

天井の模様は地上の人々の足跡。地下街の天井の一部を半透明板にすることによって、地下にいながらにして地上の活動を感じ取ることができる。地上の人々は、地下の灯りを踏みしめて歩く。

3.KALEIDOSCOPE

ミラーガラスのビルの前に、鏡を置いてみる。そこには、もうひとつの世界への入口がある。無数に写り込んだ自分の姿を見て、人は己の内面を感じずにはいられない。

4.RECORDABLE

この扉は、ノブがなく、押すとしばらくへこみ徐々に復元する素材でできている。間もなくやってきた人は、蓄積された過去の通行者の記録を感じつつ、新たなへこみを記録する。

5.ILLUSIONS

地下街に凹面鏡を二枚重ね合わせた通路を設け、地上に虚像を浮かび上がらせる。現れては消える儚い姿は、都市における自己の存在のみならず、個人の価値観をも強く揺さぶる。


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