非建築専門雑誌の記述 | 建築専門雑誌の記述 | |||||||||||
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「アニ・ハウス」 アトリエ・ワン AXIS vol.72 3・4/1998 『21世紀住居図鑑』 |
建築の描写・説明 | 外観 | 単純な外観 | 「アニ・ハウス」は、小さくて、慎ましく、規則性を有し、周辺環境の条件に限定された、単純な四角い家だ。でも、それだけではない。いささか無愛想な外観に似ず、いくつもの二重性を抱えている複雑な家でもあるのだ。 | 家、外観、 | 「アニ・ハウス」 アトリエ・ワン 住宅特集02/1998 |
背景情報・予備知識 | 視野の拡大や更新 | 環境問題 | |||
6×6m正方形平面の重なり | 背後にある洗面室部分を除くと〜2層分重なっているだけ。 | 洗面室、2層、正方形、平面 | 現代社会の認識・批判 | 住宅設計論 | 場所による空間の定義 | 今日、住宅の空間は建物だけではとても定義しきれない環境に置かれている。住宅の内部を建築家がどうこうする以前に、それが建つ場所やそれをサポートするテクノロジーによる定義が、住宅の空間に与えられていないか。 | 住宅、空間、建物、環境、住宅、建築家、テクノロジー | |||||
軒高7m | 軒高7m近くの陸屋根のシルエット | 軒高、陸屋根 | 設計条件 | 周辺環境 | 中途半端に密集した凡庸な宅地 | |||||||
開口部 | 大きな開口部 | 3方向の立面の中央にある、階をまたいで精一杯大きくとられた窓。正面下部に幅いっぱいに広がっている水平窓。 | 立面、窓 | 息苦しさ、違和感を感じる | ||||||||
内部空間 | 間仕切りのない 空間 |
建築家の思考 −設計コンセプト |
環境はかえられなくても、何か言えないか | この住宅地の環境ごとつくり替えることはむりだとしても、それに対して何事か言えないかと感じたのだ。 | ||||||||
空間構成 | 3層の立体的なワンルーム | 天井の高さにゆとりがあるわけではないが、階段で結ばれた3層の立体的なワンルームと見なすことができる構成になっているので、心理的に受け止められる空間の容量は大きい。 | 立体的、ワンルーム、階段、天井、空間、容量 | 設計プロセス | 建て主との対話 | |||||||
外壁、内壁の仕上げ | 既成の材料、慎ましい | 外壁は波板鋼板、開口部は既成のアルミサッシ。内部の仕上げは、合板、フローリング、プラスターボード、モルタル金ゴテ押さえ。 | 外壁、波板鋼板、開口部、アルミサッシ、合板、フローリング、プラスターボード、モルタル金ゴテ押さえ | 建築の描写・説明 | 空間構成 | 大きな部屋3つ | ドラマチックな吹き抜けは不要、それより3つの大きな部屋があればなんとでもなる。 | 吹き抜け、部屋 | ||||
カモフラージュをしない | しかし、「アニ・ハウス」ではそうしたカモフラージュはいっさいされていない。 | 設計プロセス | ヴォリューム形状・配置 | 隣地境界までの距離 | ||||||||
構造、施工方法 | スチール部材、組み立て | 建築の描写・説明 | 配置 | 敷地境界から2-3mの引きをとる | ||||||||
シンメトリー | このようにしてつくられた6×6×7mの、3層に区切られた直方体は、中心軸を含む直行する4方向に対してシンメトリーになっている。 | 直方体、シンメトリー | 平面形 | 6m角の正方形平面 | 敷地の四角い輪郭の中央に正方形平面のヴォリュームを同心方構造は、その求心力によって低い石垣によって囲まれた台座のような地盤面をこの住宅の構成に組み込む。 | 敷地、正方形平面、ヴォリューム、同心方構造、地盤面、住宅、構成 | ||||||
建築の評価 | シンメトリーについて | パラディオの ヴィラ・ロトンダ、 菊竹清訓の スカイハウス |
同心方構造 | |||||||||
シンメトリー、規則性の強調 | どちらもシンメトリーが強調され、規則性が隅々まで貫かれ、結果としてヒロイックで完結した姿に至っている。 | シンメトリー、 | 空間構成 | 三層のワンルーム | ヴォリューム内部を各層ぎりぎりの天井高(2.35m)で三分割すると、地下1.12m、地上1.6m、4.14mの3つのワンルームと、地上6.8mの屋上ができた。 | ヴォリューム、層、天井高、ワンルーム、屋上 | ||||||
ヒロイックで 完結した姿 |
間仕切り | いっさいないので、正方形平面が現れる | 平面的な間仕切りはいっさいないので、内部に6m角の外形がそのまま現れている。 | 間仕切り | ||||||||
規則性が意識されない「アニ・ハウス」 | しかしそれらとは反対に、「アニ・ハウス」では、実際に空間に身を置く限り、規則性はほとんど意識されない。 | 空間、規則性 | 洗面所、浴室 | 庭に置く | 前面道路から遠くプライバシーの高いことを考慮して、洗面所、浴室を庭の一部となるように北の庭に置いた。 | プライバシー、洗面所、浴室、庭 | ||||||
未完の美学 | その結果として、この住宅の姿はアンチヒロイックで、未完の美学に組したものになっている。 | 浴室部分 | メインヴォリュームの東側にはみ出す | 陽があたるように、浴室部分はメインヴォリュームの東側にはみ出ている。 | 浴室、ヴォリューム | |||||||
設計条件 | 周辺環境 | 法規制、日照など | 階段 | 浴室に接続 | これに接続するために、階段は東北角に半階で折り返す形できまった。 | 階段 | ||||||
配置計画 | 周囲に均等な 空地を残す |
建築家の思考 -設計コンセプト |
3層の性格 | 地盤面からの距離によって決定 | 各層の性格の違いは地盤面からの距離によって定義されることになった。 | |||||||
建築の評価 | 地域との関係づけ | 隣地や隣家との距離を敢えて中途半端な関係に設定することで、境界線の存在の意味を、並んで建っていることの意味を、問い直しているのだ。 | 隣地、隣家、境界線 | 開口 | 外からは階数がわからないようにつくりたい | |||||||
施主についての記述 | 住み手の意見 | 設計者の観念の 産物ではない |
建築の描写・説明 | 立面 | シンメトリー、外からは1層に見える、4面から外が見える | このシンメトリーの立面によって外からは1層にも見え、内からは地下を除いて東西南北4面すべてから外が見える。 | シンメトリー、立面、地下 | |||||
施主の住空間に 対する能力の高さ |
自分たちのライフスタイルに合った空間とはどういうものかについて、充分に具体的なイメージと尺度を持っていた。 | ライフスタイル、空間 | 外部階段 | 1階を基点として風呂・地下・上階を結ぶ動線 | 鉄骨階段を1階東面から前面道路に向けてのばすと、1階を基点として風呂・洗面に分かれながら地下へ至る動線と、2階を経て屋上に至る動線が生じる。 | 鉄骨階段、1階、風呂・洗面、地下、動線、屋上、動線 | ||||||
建築の評価 | いくつもの二重性を持つが単純な家 | 規則的でない、都市への視線、複雑 | 「アニ・ハウス」は、大きくて、傲然としていて、規則的でなく、都市に視線をのばした、複雑な四角い家だ。 | 家 | 部屋の用途 | 居間、寝室、勉強室を決める | ||||||
愛嬌を感じさせる外観、二重性 | いささかの愛嬌を感じさせる外観に似て、いくつもの二重性を抱えている単純な家でもあるのだ。 | 二重性、家 | 背景情報・予備知識 | 「アニ・ハウス」の展開 | 同じ手法 | |||||||
建築家の思考 -住宅設計論 |
日本の都市と住宅について | 同心方構造=ヴィッラ | 敷地のどこに建物を置こうが両者の輪郭の包含関係こそが戸建て住宅の本質であり、それをストレートに示すのが同心方構造といえるだろう。 | 輪郭、包含関係、戸建て住宅、 | ||||||||
都市と住宅の再考 | 日本の住宅地の矛盾 | |||||||||||
住宅設計=都市空間の設計でもある | 具体的な都市空間は、都市計画や建築計画だけではつくれなくて、両者の境界をつなぐ「建ち方」によってつくられるのではないかとさえ思う。 | 都市空間、都市計画、建築計画、「建ち方」 | ||||||||||
都市と建築双方からの定義が必要 | ||||||||||||
慣習的に使っている要素の再定義 | だからこの際、慣習的に使っている塀、庭、壁、階段という要素や、「階」という何の特別な意味も持っていないかのような概念さえも、もう一度住宅地が抱える矛盾を認識することの中で、再定義されなければならないのではないか。 | 塀、庭、壁、階段、階、概念 | ||||||||||
住宅が都市を取り戻す | 都市計画と建築計画の境界面にある認識論的な水準になるとき、これまでとは全く違う位相で住宅は都市を取り戻す、あるいははじめてそれを獲得するはずだ。 | 都市計画、建築計画、境界面 |