非建築雑誌の記述 | 専門雑誌の記述 | |||||||||||
表示 | 構成 | 建築を記述している部分 | キーワード | 表示 | 構成 | キーフレーズ | キーワード | |||||
形式 | 記述対象 | 要約 | 形式 | 記述対象 | 要約 | |||||||
「壁のない家」 坂茂 企画/『アンチLDK宣言』 CASA Brutus vol.10, 1998 |
背景情報・予備知識知識 | 日本の伝統的住居 | 日本の伝統的住居における強固な壁の不在 | 日本の伝統的住居には、もともと「強固な壁」はない。 | 日本、伝統住居、壁 | 「壁のない家」 坂茂 『アンチ・ミースィアン』 住宅特集 11/1997 |
建築家の思考 −住宅設計論 |
ミース・ファン・デル・ローエの 「バルセロナ・パヴィリオン」の構造 |
バルセロナ・パヴィリオン | 私のもっとも好きな建築のひとつにミースのバルセロナ・パヴィリオンがある。 | ミース、バルセロナ・パヴィリオン | |
襖障子を取り払うと、柱だけの空間になり、内と外が相互浸透して、境界がさらに曖昧になり、庭と一体となる。 | 内と外、相互浸透、境界、曖昧 | 構造的な必然性にたいする疑問 | もちろん、あの十文字断面の柱と間仕切り壁の構成は完璧な完成度をもっているが、常に壁かサッシュのそばに置かれている十文字の柱がたとえなくとも、地震のないバルセロナでは、XY方向にある壁とサッシュの方立で充分に構造的には成立してしまうのではないだろうか。 | 十文字断面、柱、間仕切り壁、構成、方立、構造的 | ||||||||
建築の評価 | 壁のない家と伝統住居との類似 | 間仕切り | 3方のガラス戸と可動式の間仕切り壁を取り払う(外へ引き出す)と、極端に細い3本の柱だけの空間になる。 | 可動式、間仕切り壁 | 機能の複合化 | ローコスト化を図る | ローコスト化を図るため、ひとつのものにふたつ以上の意味や機能をもたせることにより、部材と手間を省く | ローコスト、意味や機能、部材、手間 | ||||
襖障子と可動式壁の類似 | 日本の襖障子でしきった伝統的住居と同質のものだ。 | 襖障子、伝統的住居 | 家具に4つの機能を持たせる | 家具に、収納、間仕切り、鉛直荷重の支持、横力の支持という4つの機能を持たせた。 | 家具、工場製作、機能、収納、間仕切り | |||||||
ファブリックのオーニングが・・・御簾のように風や光を通して、外と内をやわらかくしきり境界を曖昧にしている。 | ファブリック、オーニング、御簾、風、光、やわらかく、しきり、境界、曖昧 | ミースとの対比 | 形態のアーティキュレート | 形態の完璧なアーティキュレートに対する、逆の行為である。 | 形態、アーティキュレート | |||||||
建築の描写・説明 | 構造 | 屋根の支え方 | 細いスチール材だけで、フラットルーフを支えている | スラブ、屋根面、フラットルーフを支える | 構造のアーティキュレート | 形態のみのアーティキュレートから、さらに構造の意味まで完全にアーティキュレートすることを試みた。 | 構造 | |||||
空間記述 | 白いニュートラルな空間 | 白いニュートラルな空間 | 白い、ニュートラル、空間 | 建築の描写・説明 | 敷地 | 斜面の敷地 | 敷地は斜面だったので、基礎工事をできる限り軽減するため、前半分は後ろの残土を盛るようなかたちで床を上げた。 | 斜面、敷地、基礎工事、床 | ||||
プラン | LDKの仕切りがない | 必要最小限の機能が見渡せるように配置されている。 | 最小限、機能 | 基礎工事 | 基礎工事、力の流れ | めくり上がったスラブと完全に固定させることにより、すべての横力を床スラブへ流す。 | スラブ、横力、床スラブ | |||||
LDKのしきりはない。DKは、Rの壁から突き出たキッチンカウンターがあるだけだ。 | LDK、DK | 構造 | 横力を負担しない柱 | 3本の柱が鉛直力を負担する | 柱、鉛直力 | |||||||
トイレ・浴室のプライバシーを確保しなくてよい | トイレや浴室も、一人住まいであればプライバシーを確保する必要がない | トイレ、浴室、プライバシー | 構造の表現 | 以上のような構造上の考えを純粋に表現するため、構造にも成り得るすべての内外壁とサッシュと方立をなくし、可動の引戸とした。 | 構造、表現、内外壁、サッシュ、方立、可動、引戸 | |||||||
計画 | 必要に応じて仕切るユニバーサル・フロア | 必要に応じて仕切るという坂の「ユニバーサル・フロア」の考え方が、フレキシブルな空間を実現した。 | 季節、時間、「ユニバーサル・フロア」、フレキシブル | 空間記述 | フレキシブルな空間、ユニバーサル・スペースとの対比 | このことは、空間的には「2/5 House」で試みたユニバーサル・フロアの考え方で、ミースの「ユニバーサル・スペース」のような大屋根の下に外とは遊離した流動的空間をつくり出すのではなく、内部空間の各機能空間相互や内外部空間までが、その使い方によって組み合わせたり連続させられるフレキシブルな空間になっている。 | 空間的、ユニバーサル・フロア、ミース、ユニバーサル・スペース、大屋根、遊離、流動的、空間、内部、機能、組み合わせ、連続、フレキシブル | |||||
空間記述 | 外と遊離した空間をつくり出すことはしない | 大屋根の下に外と遊離した流動的空間をつくりだすのではなく、 | 大屋根、遊離、流動的空間 | 軒、建具 | 内外空間の曖昧な連続 | 屋根の両側面は、壁面後退のルールにより軒が出せないので、下げれば雨戸代わりになるファブリックのオーニングが、内外空間を曖昧に連続させ、視覚的に風と光を感じさせる装置となっている。 | 屋根、軒、雨戸、ファブリック、オーニング、内外空間、曖昧、連続、視覚的、風、光、装置 | |||||
組み合わせによって内外の連続するフレキシブルな空間 | 内部空間の各機能空間相互や内外部空間までが、その使い方によって組み合わせたり連続させられるフレキシブルな空間になっている | 内部空間、空間、連続、組み合わせ、フレキシブル | ||||||||||
建築家の思考 -設計コンセプト |
建築家の意図 | ローコスト | ローコストを図るため、ひとつのものに二つ以上の意味や機能をもたせることによって、部材と手間を省く | ローコスト | ||||||||
機能、構造 | 家具の家では、・・・家具に収納、間仕切り、鉛直荷重の支持、横力の支持という4つの機能を持たせている。 | 家具、機能 | ||||||||||
ミースとの対比 | 形態のアーティキュレート | ミースの・・・形態の完璧なアーティキュレートに対する、逆の行為である。 | ミース、形態、アーティキュレーション | |||||||||
構造まで含むアーティキュレート | 構造の意味まで完全にアーティキュレートする | 構造 | ||||||||||
建築の描写・説明 | 基礎工事 | 思想の技術的解決 | 斜面という地形をいかし、・・・床面の後ろ半分の斜面を掘り、その土を床面の前半分に盛る。 | 床のみを共有、ユニバーサル・フロア、機能 | ||||||||
構造 | 土圧を床に流す | 斜面を掘った後辺は・・・床スラブをR状に屋根までめくり上げるようなかたちで、土圧を自然に床に流している。 | スラブ、屋根、土、めくり上げる、圧、床、 | |||||||||
空間記述 | 壁がなく、柱だけの流動的な空間 | プランから壁が消え、柱だけの流動的なフレキシブルな空間が生まれた。 | プラン、壁、柱、流動的、フレキシブル、空間 | |||||||||
半屋外の空間 | 外部と内部を遮るものがない、半屋外・半屋内の空間を同時に実現した。 | 半屋外、半屋内 | ||||||||||
現代社会の認識・批判 | 現代の伝統空間 | 伝統的住居と現代建築 | 坂のいう「ユニバーサル・フロア」は、日本の伝統的住居の特性を現代建築に生かしたものだ。 | 伝統的住居 | ||||||||
建築の評価 | 経済効率優先の近代化のなかで、伝統空間は形を変えてLDKとなったが、今またフレキシビリティを取り戻しつつある。 | LDK、フレキシビリティ、伝統空間 |