非建築雑誌の記述 | 建築雑誌の記述 | |||||||||||
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形式 | 記述対象 | 要約 | 形式 | 記述対象 | 要約 | |||||||
「大竹邸」 奥山信一・若松均 (DESK 5設計) 記事タイトル 『天井まで延びる収納壁で仕切られた「家具の森」』 confort #32 春 1998 |
施主についての記述 | 施主について | 設計者との出会い | 「石神井公園の家」 住宅特集 06/1994 |
施主についての記述 | 施主の要望 | ガランとした殻のイメージ | 体育館あるいは道場のようなガランとした殻がよいという住空間に対する明快な希望を携え、そして6年前に設計した「椎名林の住宅」に共感をよせてくれた映像を職とするご夫妻のために住宅をつくることになった。 | 体育館、殻、住空間、住宅 | |||
施主の要望 | ガランとした空間、ローコスト、二世帯住み分け | 体育館のようにがらんとした空間と、ローコストであること、将来二世帯がうまく住み分けられること | がらんとした、空間、ローコスト、二世帯、住み分け | 施主の生活 | 物に対する愛着 | こうした品々に愛着を込めておられるご主人が、家を新築するからといって、おいそれと物に対する趣向を転向されるとは到底考えられなかったから、たとえどのような意味の強いものたちがあふれても揺るがない空間の骨格をつくることがわれわれの主題となった。 | 新築、家、物、揺るがない、空間、骨格 | |||||
依頼の背景 | 増築か建て替えか | 建築家の思想 -住宅設計論 |
建築家の意味 | 住み手の論理と設計の文脈 | しかしそのことは、住み手の論理を設計の文脈にのせようという意図ではない。クライアントの要求するガランとした殻のイメージを利用して、住宅を建築の空間として具体化する創作の論理を構築する作業であったと考えている。 | ガラン、殻、イメージ、住宅、建築、空間、創造、論理、構築 | ||||||
建築家の思考 −住宅設計論 |
源にあるテーマを連続して発展させていきたい | 特殊解の連続ではない | 特殊解として次々に全く違う発想の住宅を建てるのではなく、源にあるテーマを連続して発展させていきたい | 特殊解、住宅、テーマ | 立面の性格 | 開口と壁面のバランス | 住宅の立面の性格は、アウトラインのシルエットも考慮した上で、抽象的な思考の水準では、開口部と壁面のバランス関係の内に形成される | 立面、シルエット、アウトライン、抽象的、思考、開口部、壁面、バランス関係 | ||||
「住空間におけるモノの体系と人の体系の再考」 | モノも人も等価に考える | 「住空間におけるモノの体系と人の体系の再考」 | 住空間、モノの体系、人の体系 | 建築のファサード | そして、そのようなバランスの力学として描かれた立面が、建築のファサードと呼ばれるものではないだろうか。 | バランス、力学、立面、ファサード | ||||||
住宅とは人間と生活に必要なモノが空間的に組織された建築、モノを納める家具と人を納める部屋とを区別することなく設計する | 空間的、家具、部屋、 | 平面の性格 | 立面より恣意性 | 現前する建物の印象を決定付ける大きなファクターである立面の構成法は、平面に比べて恣意性が強い。 | 建物、印象、立面、更正法、恣意性 | |||||||
モノも人も等価、家は人を収納する家具ともいえる | 家、家具、人、収納 | ヴェンチューリの主張 | ||||||||||
一般論 | 動線計画 | 「動線」を重視したプランニング | 動線、プランニング | 平面と比べた立面の性格 | 外形と関わる | このように内部においては部分として成立しているものの、常に外形全体の構成とかかわらざるを得ない両義的なあり方は、建築の開口部とそれによってつくられる立面特有の性格といってよいと思う。 | 内部、部分、外形、構成、建築、開口部、立面 | |||||
人の動きが先にあり、それを受け止める場所をつくる設計方法 | 「がらんとした空間を包むシェルターがあって、中に人がいる。その人の動きを受け止める場所をつくる」 | がらんとした、空間、シェルター、動き、場所 | 設計条件 | 敷地 | 3方を囲まれる | 前面道路側を除いて3方を囲まれた都市部の一般的な敷地条件 | 都市部、敷地条件 | |||||
設計計画 | 「ジャイアント・ファニチャー」 | ジャイアント・ファニチャー(空間を構成するために建築化された巨大な家具) | ジャイアント・ファニチャー、空間、建築化、家具 | 建築家の思考 -設計コンセプト |
設計コンセプト | 裸の立面=立面を描かない | 裸の立面の構成法は、立面を描くことの放棄を意味している。 | 裸の立面、立面、描くこと、放棄 | ||||
チャールズ・ムーアとの対比 | 「チャールズ・ムーアの設計したシーランチ・コンドミニアムでは、強い原色が塗られていたりと、家具をかなり独立させていますが、僕はそのように外側から見る対象物にはしたくなかった」 | チャールズ・ムーア、シーランチ・コンドミニアム、原色、家具 | デザイン決定の合理 | ファサードは必要なので、何か創作の論理が必要 | そうはいっても、しかし、建築はファサードをもたざるを得ないものと考えているから、他のファクターにデザイン決定の合理を託す蔓延したモダンデザイン(機能主義)のような単なる責任の回避ではなくて、そこには創作の論理が必要となる。 | 建築、ファサード、モダンデザイン、機能主義、創作、論理 | ||||||
建築化された家具 | 空間構成のためとしてだけでなく、人が間をとおりぬけたり、家具の内部に人が入り込んだりする「能動的な」ジャイアント・ファニチャーを意識した | 空間構成、間、家具の内部、能動的 | 断面的な立面、外部への表出 | そうした断面の無調整な外部への表出は、描くことを止めた裸の立面の条件を満足していた。 | 断面、表出、 | |||||||
フィッシャー邸の引用 | 魅力的だが、住宅地に露わにすることは許されない | |||||||||||
ジャイアント・ファニチャーは生活する場・・・をつくり出すために最初から建築の一部として壁や柱と同じ次元で存在する家具をいう。 | 生活する場、建築 | 都市住宅としての現実性 | 都市住宅としての現実性 | 都市住宅としての現実性を獲得できない。 | 都市住宅、現実性 | |||||||
建築の描写・説明 | 立体構成 | 1階2階の用途 | 一階に設けられていたキッチン機能付きのフレキシブルなギャラリー空間をお母さんの居室とし、2階をご夫婦の仕事場を兼ねたスペースとしている。 | フレキシブル、空間、スペース | スクリーンを纏わせる | そこには何でもないもうひとつの立面(スクリーン)を描かずに纏わせる必要があった。 | 立面、スクリーン、 | |||||
敷地、周辺環境 | 密集地 | 周囲を住宅で囲まれた密集地にあり、建物の形状はほぼ敷地の形から決められた。 | 住宅、形状 | 建築の描写・説明 | スクリーン・テラス | テラス架構 | 建物前面幅いっぱいに張り出されたテラス架構を拡大し、100mm幅の小幅板を等ピッチで横張りした。 | 建物、テラス、100mm幅 | ||||
外観 | 台形のボックス型の建物 | 平面的にも断面的にも台形のシンプルなボックス型の建物だ。 | 平面的、断面的、シンプルな、ボックス型 | 塗装 | 外面をシルバーに塗装したので、陽光を反射して目かくしにならず目つぶしとして機能している。 | 外面、塗装、目かくし、目つぶし | ||||||
ガラス張りの開口部、シルバーのスクリーン | ボックスの南側をスパッと切り取ったようにガラス張りの開口部が設けられ、目隠しも兼ねたシルバーのスクリーンがテラスを支えている。 | 開口部、スクリーン、切り取った、テラス、 | スクリーン | このスクリーンは、当初、裸の立面を現実化するための手段であったのだが、結果としてそれ自体が都市住宅での裸の立面の成立を表徴するものとなった。 | 裸の立面 | |||||||
玄関→階段 | 光いっぱいの大きな空間 | 玄関を入って階段を上がると、そこは光いっぱいの大きな空間 | 玄関、階段、光、大きな空間 | 建築家の思考 -設計コンセプト |
無限定な空間をつくる | 間仕切りによる空間の発生 | ||||||
階段、トップライト | 視線の向き、開放感 | 北から南へと斜めに上昇する天井のラインによって自然に視線が上を向き、階段の上のトップライトからのぞく空が開放感を強調する | 上昇する、天井、ライン、視線、トップライト、開放感、空 | 間仕切りによる空間の分割 | ||||||||
ジャイアント・ファニチャー | ジャイアント・ファニチャーが空間を区切る | ワンルームの室内の中央にはグレイに塗装された柱状の家具、すなわちジャイアント・ファニチャーが林立し、空間をゆるやかに区切っている。 | 室内、ワンルーム、柱状の家具、林立し、空間、ゆるやかに、区切る | 間仕切りによる無限定な空間 | 間仕切壁に、他の建築的な機能を担わせ、そして配置することで、ワンルームともツールームとも呼び得ない、歪みと淀みをもった無限定な空間の骨格がつくれないであろうか。 | 間仕切り壁、建築的、機能、無限定、空間、骨格 | ||||||
ジャイアント・ファニチャーの用途 | 一直線に並ぶ4つのうち2つは衣類その他を収納する家具であり、北側の2つはトイレと洗面カウンターを納める家具、そして独立したもう一つはキッチンとして使用されている。 | 家具 | 具体例 | |||||||||
建築家の思考 -住宅設計論 |
建築家の思想 | 間取り、部屋の概念 | 従来のnLDKという間取りを決めるラインは分割線であるだけで何の機能も持っていない。そのラインがもっとぼやぼやした幅の広いものであっていいじゃないか、残ったところが人の居場所になれば部屋という概念はなくていい | nLDK、間取り、ライン、分割線、機能、部屋、概念 | 建築の描写・説明 | 間仕切りとしてのジャイアント・ファニチュア | 間仕切り | 予備的な機能を1階に残して、主な生活が展開されるこの住宅の2階では、厚みを増して、そこに収納、設備が組み込まれた、限りなく建築(家具)化されたジャイアント・ファニチュアとしての間仕切りを置くことで、生活の空間が成立している。 | 生活、住宅、収納、設備、建築家、ジャイアント・ファニチャー、間仕切り、空間 | |||
分割線と空間 | 幅の広い分割線である「ぼやぼやしたあいまいなところ」とそれ以外の空間の2つで家は成り立つ。それだけが住宅をつくる基本である | 分割線、あいまい、空間、住宅、家 | 作り方 | 淡い白色の室内全体と対立して、そうした壁(家具)の長辺部分は鈍いグレーに着色され、さらに回遊する動線のためにスリット状に切り取られ、穴があけられた。 | 室内、着色、動線、スリット | |||||||
施主についての記述 | 施主の意見 | 間仕切りは要らなかった | 仕切りは基本的にいらなかった | 仕切り | できた住空間 | 結果として、こうした壁(家具)の回りにできた淀みを巡る住空間となった。 | 壁、住空間、 | |||||
施主の生活 | 夫妻にとってのモノの重要性 | 建築家の思考 -住宅設計論 |
建築化された家具 | 切り株のような家具 | ひとつは、床が盛り上がり収納機能を備えた状態で、その表現は限りなく床と同質な切り株のようなものとなる。 | 床、収納、機能、表現 | ||||||
施主の要望 | ジャイアント・ファニチュア | |||||||||||
建築の評価 | 空間記述 | 竣工後の暮らし方 | たとえどのような意味の強い物たちがあふれても揺るがない空間の骨格づくり | 空間、骨格、物、 | 「椎名林の住宅」の例 | |||||||
生活 | 人と物とそれを包む建物(家具)とが対等にしっくりと馴染んでいる | 人、物、建物、家具、対等 | 建築の描写・説明 | 構造 | 普通の架構 | この「石神井公園の住宅」では、後で述べるように欲しいと思う空間の量を優先したから、きわめてオーディナリーな架構法を採用している。 | 空間、量、架構 | |||||
住宅が柔らかく住みこなされていく | 住宅 | 建築家の思考 -住宅設計論 |
空間をかたちとして捉える | イメージの形象化 | ||||||||
建築の描写・説明 | 空間構成 | 屋根、天井 | 北側の内法天井高は1.8m、南側はその2倍で3.6m、その高さの差は片流れの屋根形状に沿ったプレーンな天井面によって吸収されている。 | 内法天井高、片流れ、屋根、形状、プレーン、天井面 | ||||||||
パースペクティヴ | このことによって、この住宅の内部空間の南北方向に対する視線には、相反する視覚的な効果をもたらす強弱のパースペクティヴが現象することとなった。、 | 住宅、内部空間、視覚的、パースペクティヴ | ||||||||||
建築家の思考 -空間論 |
空間をかたちとしてとらえる | 空間体験の記述 | この住宅の空間体験は、強弱の遠近法の織り成す視覚的な距離とスケールにかかわる性格と、先ほど述べた収納壁を兼ねたジャイアント・ファニチュアを横断する空間の領域と境界にかかわる性格とが複合したもの | 住宅、空間体験、遠近法、視覚的、距離、スケール、ジャイアント・ファニチュア、空間、領域、境界 | ||||||||
いま述べた空間のあり様の記述は、体験することを前提とした空間の現象的な側面といえるものであるが、そうした現前する空間の表現を、素材などの物自体の物質的な意味に託すのではなくて、スペースそれ自体の構成的な操作によって生み出すことに、いま大きな関心を持っている。 | 空間、あり様、記述、素材、物質的、スペース、構成的、操作 | |||||||||||
この住宅の内部空間で求めたのはあくまで空間を「かたち」としてとらえることであった。 | 住宅、内部空間、「かたち」 | |||||||||||
殻のイメージを現実化する | そうした構成によって現象する視覚的な効果のうちに、ガランとした殻のイメージを、実態を伴った建築の空間とする手がかりを求めたのである。 | 構成、視覚的、ガランとした、殻、イメージ、実体、建築、空間 | ||||||||||
建築家の思考 −住宅設計論 |
現代の住宅の空間設計の方法論 | 希薄である | ||||||||||
安易な解決 | ||||||||||||
建築家の思考 −将来への展望 |
空間のあり方 | 新しいスタイル | そんな状況の中で、言語によって定着されてはいないものの、断片的に空間自体のあり様にかかわる共通なスタイルが芽生えつつあるように思う。 | 空間、あり様、スタイル | ||||||||
建築家の思考 -コンセプト |
竣工後 | 揺らぐことのない空間の骨格 |