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2-3  キーフレーズで見る文章内容の比較考察
 非建築専門雑誌

  内部空間に焦点

  玄関から人の集まる場所・明るい場所へと向かう方向性を持った記述

  明るさ・光=快適なもの、よいものという描写

 建築専門雑誌

  内部・外部、光・影などの相反する要素の両面に注目

  都市における住宅というものに注目

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記事の内容については、形式推移図で重要度の高かった「建築の描写・説明」と「建築家の思考」について考察を行った。

 「建築の描写・説明」の記述内容では、住宅の説明手法に明らかな差が見られた。非建築専門雑誌では、住宅を記述する際の意識の方向・焦点が住宅の内部にあり、外部と内部の境界である玄関から内部へ入って人の集まる場所・明るい場所へと向かう方向性を持った記述がされる。これに対し、建築専門雑誌では、外部と接する場所を内部と対比した記述がされる。また、非建築専門雑誌(ことに『モダンリビング』)では明るさ・光に注目し、快適なものとして描写しているのに対し、建築専門雑誌では光と影の両方を認識し記述している。

 「建築家の思考」の記述内容では、「住宅設計=都市設計」「都市に住むという意志」といった都市と住宅の関係性への意識が建築専門雑誌に顕著に現れているが、非建築専門雑誌全体では特に目立たない。

 以上相違点を述べたが、非建築専門雑誌の中でも『AXIS』と『Brutus CASA』は、玄関というものの存在や暮らしやすさなど非建築専門雑誌特有の指標に触れながらも、内部と外部の連続性や都市との関係性に注目して住宅を評価する視点を持っており、建築専門雑誌に現れる記述の特徴も備えている。

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