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1-0 研究目的 |
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一般的に、専門家は職業的な知識や経験の蓄積からものを言うが、専門家でない人々はそういった知識を持たない。このため、彼らの意見は専門家に及ばないと考えられている。たとえば機械工学や化学など、専門家の手助けがないと状況を把握できない分野は数多くある。 しかし、建築というものの評価においては、作り手である専門家の職業的知識に基づく発言が説得力を持っているのと同時に、住み手・使い手・鑑賞者という専門家ではない人々立場の発言も重要なものとして扱われる。人は誰でも建築の内外で生活しており、いつでも建築空間を体験している。つまり、専門家でなくとも人は建築を能動的に感じ取ることができ、建築に対する住み手・使い手・鑑賞者の価値観を持っているのである。 このような双方の意志の重要性は昔からよく指摘され続けているが、現在も両者は互いの建築に対する主張や立脚点をよく理解しあっておらず、ときにすれ違うようにみえる。 本研究は、専門家とそうでない人の建築に対する価値観・表現の差異を明らかにすることを目的とする。そのために、建築の中でも双方の価値観がもっともよく表現される住宅建築についての記述をとりあげることとし、同じ住宅を記述する2者の文章の展開形式・内容・語彙から、両者の住宅に対する価値観を比較考察する。 |
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